記録的大雪に立ち向かう新潟県上越市へエールを送る

甲信越

雪国では、雪は敵であり味方でもあるわけですが、過剰な降雪は敵の要素が強くなるので歓迎されるものではありません。新潟県上越市の高田はもともと豪雪地帯として有名で、住民や住宅には雪に負けないノウハウが詰め込まれています。しかし35年ぶりともなると勘が鈍るところはあるでしょうし、そもそも昔の豪雪を知らない世代が増えているのも事実。件の報道を見るたびに、敵としての雪が事故や災害の原因にならなければいいといらぬ世話を焼いています。

記録的大雪で都市機能まひ 高田の積雪243cm ごみ収集休止 小中学校も臨時休校

新潟県上越市高田は2021年1月10日午後1時時点で、積雪は244cmを記録し、240cmを超えたのは「3年豪雪」の1986年1月以来35年ぶり。市内の幹線道路は立ち往生が相次ぎ、市道なども通行不能な道が多く、市は11、12日のごみ収集の休止を決めるなど都市機能がまひしている。市立の全小中学校も12日に臨時休校する。同日、同市などに災害救助法が適用された。
(2021年1月10日 上越タウンジャーナルより

大雪Before&After

道路の様子1

ほぼ同じ場所を撮影した大雪前と後の写真。前の写真はGoogleストリートビューのスクショです。後の写真は2021年1月10日に現地で撮影されたものです。

路肩に雪が高く積み上げられ、道幅が非常に狭くなっていることが分かります。道路中央に設置された消雪パイプからの水が雪を融かしてくれています。一方、屋根の雪は積雪深1m程度しかありませんが、自重によって押しつぶされる圧密効果によって密度は新雪の2~3倍となる500~600kg/m3くらいになっていると思われます。つまり、仮に屋根の面積が10m×10mの100m2なら、50~60トンもの雪が乗っている計算になります。

Before
After

道路の様子2

除雪がまったく追いついておらず、少し狭い道路も雪によって車が通れない状態になりました。このためゴミの収集や新聞配達はストップし、コンビニ等への物流も滞っています。

Before
After

線路の様子

線路も雪で埋まってしまいました。というか、Afterの写真は線路と言われなければ分からないくらいに景色が変わっています。

Before
After

一斉雪下ろしなるか?

車や人を通行止めにして道沿いに暮らす家々が同じ日に雪下ろしを行うことを「一斉雪下ろし」と言います。平成23年豪雪のときの一斉雪下ろしの写真がありました。なお、もし今回実施となれば2012年以来9年ぶりの対応となります。

今回の豪雪で一斉雪下ろしを実施した場合、地面に積もった雪に屋根雪が加算されるので、総積雪深は4mを超え、平屋建ての家屋は1階が雪の下に埋まってしまうでしょう。また、雁木は雪の壁によって昼間でも真っ暗に。まさに「この下に高田あり」です。僕は「この下に高田あり」を小学校低学年くらいの頃に経験しました。当時は子供だったので楽しいだけでしたが、いまの歳では楽しいだけでは済まないでしょう。

1月23日に一斉雪下ろしが実施されました。

一斉雪下ろし。2011年2月6日撮影(Flickr

2月、3月も要注意

もし一冬に降る雪の量が決まっているとしたら、今シーズンはすでに8割は降ったことになるのかもしれませんが、現実にはその保証はどこにもありません。それどころか気象庁の過去の気象データから35年前の高田を振り返ると、2月と3月にもドカ雪が記録されています。今年はコロナだけが人類の敵だと思っていたのに、まったくひどい試練です。

令和3年豪雪の生き証人に

雪は邪魔者であり、敵の顔を持つことは紛れもない事実です。しかし、一方で夏の水不足を解消してくれる大切な水資源であることも事実。克雪、利雪の観点で雪に接するには十分な心の余裕が必要なので、大雪が降り続いている現在進行形の今すぐには無理でしょうが、世界でも有数の雪国で暮らす上越市民ならきっとできるはず。確実に後世に語り継がれることになるであろう令和3年豪雪の生き証人となっていただきたく、関東の地からエールを送ります。

 

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