アコースティックギター(以下、アコギ)の演奏方法は、ピック弾きと指弾きに分けられ、それぞれの中でさらに細分化されています。スリーフィンガーは指弾きの演奏方法の1つ。残念ながら最近の邦楽では聴いた記憶がありませんが、僕としてはアコギの醍醐味であり、もっといろんな人に弾いてもらいたいと思ってます。そこでスリーフィンガーの問題点と名手(名曲)をまとめてみました。
スリーフィンガーの問題点とは?
スリーフィンガー奏法は、1960年代から70年代にかけて発表された日本のフォークソングで良く使われています。僕はいま40代ですが、この時代のフォークソングが大好きなので、例えば「岬めぐり」(山本コウタローとウィークエンド)などをお手本にしてスリーフィンガーを練習しました。しかし「フォークに興味はないけどスリーフィンガーは練習したい」という人にとってはこれが問題点となります。
彼らにしてみれば、最近の曲でスリーフィンガーを練習したいでしょう。しかし昨今のアーティストがスリーフィンガーの曲をほとんど発表していません。すると「もしかしてスリーフィンガーってオワコンなの?」と疑念を抱いてもおかしくないし、「だったら弾けなくてもいいや」と諦めてしまう可能性だってあります。こうなるとスリーフィンガーの地位はさらに下がり、やがては「かつて存在した古(いにしえ)の奏法」と化す恐れもあります(戯言)。
これは非常によろしくない悪循環ですから、試しに2000年以降に発表されたスリーフィンガーの曲(邦楽)を調べてみました。
2000年以降に発表されたスリーフィンガーの曲(邦楽)
結論から言うと、予想通りほとんどありませんでした。というか、僕が調べきれていないだけの可能性が大きいので、もし他にご存知の方がいらっしゃいましたら情報提供いただけると嬉しいです(@cozymax)。
ゆず
アコギのアーティストと言ったらゆずは外せませんね。彼らならきっとスリーフィンガーの曲を出しているはず・・・と思って調べたら、やはりありました。でも2000年以降となると1曲しかなくて、1997年以降とすれば2曲でした。
・気になる木(2000年)
・する~(1997年)
THE ALFEE
アルフィーも有力候補だと思って調べたら、やはりありました。しかも7年前の2014年にリリースされているあたり、尊敬しかありません。なのでさっそくルール違反ですが、昔のスリーフィンガーの曲もついでに書いておきます。
・悲しみが消える時(2014年)
・Days Gone By(1993年)
・シュプレヒコールに耳を塞いで(1992年)
・水曜の朝午前3時(1981年)
星野源
ゆずもアルフィーも40歳を超えていて(アルフィーは60歳超え!)、もっと若手ではいないのかと探したところ、ギリギリ40歳以下で星野源が”恐らくスリーフィンガーと思われる曲”を出していました。でもちょっと怪しいので、スリーフィンガーで弾いてもカッコいい曲ということで挙げておきます。
・グー(2010年)
以上が、僕が調べられた範囲内での2000年以降に発表されたスリーフィンガーの曲(邦楽)です。実質3曲しかありません!
この他、本来はスリーフィンガーの曲ではないけど、スリーフィンガーで弾いてもおかしくない最近の曲としては、365日の紙飛行機(AKB48)、マリーゴールド(あいみょん)を挙げておきます。
洋楽に素晴らしい曲を見つけた!
というわけで、邦楽の調査は寂しい結果に終わりました。では洋楽ではどうなのかと思って調べていたある朝、マクドナルドのBGMにスリーフィンガーの曲を見つけました。Josie DunneというアーティストのLostという曲で、リリースはなんと2020年です!
Lostはコードも簡単で、耳コピした感じでは恐らく3カポでCとDmの2つしか使われていません。テンポはゆっくりだし、練習曲としてとても良いです。しかもこの曲をさらっと弾き語りできたらカッコいいので、モチベーションを保つにも十分でしょう。
ちなみに、Summer Loveという曲はツーフィンガーで演奏されていて驚きました。ツーフィンガーの名手としては、古くはPeter, Paul & Mary(PPM)のPeter Yarrowが有名ですが、いまどき本当に珍しいですね。彼女のようなアーティストが日本にも現れてほしい(そして売れてほしい)と強く思います。
他には、The BeatlesのJuliaやBlackbird、Eric ClaptonのSigne(ガットギターですが)、Simon & GarfunkelのThe Boxerなどがスリーフィンガーの曲として有名です。The Boxerは名曲中の名曲で、アルフィーがカバーしているバージョンは本家より好きです。
主なスリーフィンガーの名手(名曲)
最後に、日本のフォークソングの中から主なスリーフィンガーの名手(名曲)をまとめておきます(順不同、敬称略)。アーティスト名を一覧化するのが目的で、曲をリストアップしたいわけではありませんので、曲が複数ある場合は一部だけ載せます。抜けがありましたらぜひツイッターで教えてください(@cozymax)。
高田渡
・アイスクリーム
・トンネルの歌
加藤和彦
・あの素晴しい愛をもう一度
加川良
・教訓1
※少し前に話題になった杏さんのバージョンはスリーフィンガーではありませんが、すごく良いのでこちらに紹介します。
山本コウタロー
・岬めぐり
森田童子
・ぼくたちの失敗(オリジナルは違うかも?)
風(かぐや姫)
・22才の別れ
かぐや姫
・赤ちょうちん
松山千春
・旅立ち
・銀の雨
さだまさし
・風の篝火
・関白宣言(1番のサビから)
吉田拓郎
・間に合うかもしれない
・リンゴ
・花嫁になる君に
・ガラスの言葉
中島みゆき
・まつりばやし
NSP
・夕暮れ時はさびしそう
・さようなら
ベッツィ&クリス
・白い色は恋人の色
荒井由実(松任谷由実)
・やさしさに包まれたなら
村下孝蔵
・踊り子
村下孝蔵さんは、歌はもちろん上手いのですが、実はギターの名手でもあります。こちらの方がかなり上手にコピーされていますが、僕も練習して弾けるようになりました。
なぎら健壱
・昭和の銀次
・フォークシンガー
こちらの動画でも披露されていますが、なぎら健壱さんのギターの上手さはもっと評価されるべきですね。ちなみに、僕はカントリーは難しすぎていまのところ弾けません!
桑田佳祐
・鏡
長渕剛
・JEEP
・夏祭り
※夏祭りは全体的にメロディラインがきれいで、特にイントロとエンディングは素晴らしいです。昨年少しだけ弾いてみた動画を載せておきます(オリジナルの完コピではありません)。基本はスリーフィンガーですが、12~16秒の間はツーフィンガー(親指と人差し指)で弾いています。
スリーフィンガーをもっと弾こう
冒頭にも書いたとおり、スリーフィンガーはアコギの醍醐味であり、決して古めかしい時代遅れの奏法ではありません。新しい曲(邦楽)にスリーフィンガーがあまり使われていないのは事実ですが、本来スリーフィンガーの曲ではなくても、スリーフィンガーで弾いてみると違った印象になって面白かったり、意外とかっこよくなったりもするので、どんどん取り入れて遊んでみるのも良いと思います。というわけで、スリーフィンガーをもっと弾いていきましょう!
最後に。これをきっかけに昔のフォークソングもぜひ聴いてみてほしいです。良い曲がたくさんありますよ。