まさか令和の時代にネーポンが復刻されてることをツイッターで知り、インターネット経由で買えるとは思いませんでした。IT革命!すごい時代になったものです。などと遠い目をしながら感慨にふけりそうになるところをぐっとこらえ、さっそく購入してみました。
※この記事では「ネーポンとは?」の詳しい説明は省略しますので、興味のある方は各自ウィキペディアなどを調べてください(本文中にリンクをはっておきます)。

ネーポンを知ったのは恐らく26年前
ネーポンを復活させてくれたネーポン田中さんのブログ記事や、withnewsの記事や、ウィキペディアによれば、僕がネーポンを初めて知ったのは恐らく26年前に放送されたテレビ番組だと思います(YouTubeに映像がありました)。これに加え、当時欠かさず聴いていたラジオ番組「らもチチの魔界ツアーズ」で中島らものファンになり、本を買い漁って読んでいるうちに「西方冗土」でネーポンの記述を見つけたこともきっかけの1つです。
西方冗土でも取り上げられている大阪・玉造の日の出商店街にある(あった)アジアコーヒを前述のテレビ番組で見たとき、すべてが怪しすぎる異様な雰囲気が強烈なインパクトとして記憶に刷り込まれました。
アジアコーヒへ行ってネーポンを飲んでみたい!と思うも、新潟の高専生だった僕にとっては叶わぬ夢で、せいぜい同じ寮に住んでいた丸山君とネーポンの話題で盛り上がることくらいしかできませんでした。

忘れていたネーポンの存在
それからしばらくネーポンの存在を忘れていました。それは製造元だったツルヤ食料品研究所がネーポンの製造を終了したことを知っていて、ネーポンはどうやっても入手できない過去の物と認識していたからです。ネーポンはかつて日本に存在した歴史上の品物となりました。そして伝説へ・・・。(ドラクエⅢもよくやりました)
2020年5月2日、ネーポン復刻を知る
しかし今月2日、急展開が起こりました。新型コロナウイルスの影響で外出自粛を余儀なくされている今年のゴールデンウイークが功を奏し、自宅でツイッターのTLを眺めていたらネーポン復刻のツイートを見つけました。
冒頭で書いた「感慨にふける思い」と「上がるテンション」というアンビバレントな状況で、その日のうちに2本セットを注文しました。このとき値段はあまり気にしませんでしたが、アジアコーヒでは1本200mlで250円だったことと、そもそもの希少価値を鑑みると、2本で3,000円(送料無料)は良心的に思えます。(西方冗土には1本150円と記載あり)

念願のネーポンを味わう
今回購入したネーポンは濃縮シロップになっていて、4倍に希釈して飲むことになります。せっかくなのでネーポンと水をよく冷やし、薄まるのが嫌なので氷は入れずに味わいました。
26年越しのネーポンは、驚くほど美味しいみかんジュースでした。「驚くほど」なんて書くと大げさに思われるかもしれませんが、けっしてそうではありません。前述のテレビ番組でビートたけしや明石家さんまがイロモノ扱いし(いい意味で)、実際の店舗は本当に怪しく陰鬱で、店主のおばちゃんも謎めいていて、そういった印象が強かったので正直あまり期待していませんでした。だからこそ驚いてしまったのでした。

ネーポンが美味しいのは当たり前?
でもネーポンがここまで美味しいのは当たり前とも言えます。その理由は、もともとの製造元だったツルヤ食料品研究所の創業者である上田豊さんの志を知れば一目瞭然です。
当時は合成着色料がたくさん使われた無果汁の清涼飲料水が流行りでしたが、上田さんは果汁の入ったより健康的で美味しい清涼飲料水を子供たちに飲んでほしいと考え、ネーポンを考案したのだそうです。なんて素晴らしいのでしょうか。
上田さんのおかげで、半世紀以上経った今でも子どもたちはネーポンを飲むことができます。もちろん、復刻してくれたネーポン田中さんのご尽力にも感謝。どうやら同級生のようなので、若くして大きな仕事をされたことに尊敬の念も抱いてしまいます。

西方冗土を読みながら飲みたい
四半世紀の思いが止まりませんが、この辺で締めることにします。とにかく、僕にとってネーポンほどノスタルジックな気持ちになる飲み物はありません。いろんな人のおかげで念願のネーポンが飲めました。この記事を書き終えたら、今度こそ感慨にふけりつつ、らもさんがアジアコーヒで飲んだようにじっくり味わいたいと思います。
よく冷えたネーポン。コップの底に沈む澱。「みかんのな、カスが沈んでるんですわ」(西方冗土より)。