ひと月に2回は田園調布を訪れるようになって以来、界隈には桜の木が多いと感じていました。中でも田園調布本町の桜坂は有名な観光スポット。いつか行きたいと思いながらもチャンスを作れずにいましたが、この前の土曜日にいつもの中華屋さん経由でようやく立ち寄ることができました。
名曲「桜坂」のモデル
田園調布の桜坂が有名になった一番の理由。それは福山雅治の名曲「桜坂」がリリースされたとき、この桜坂が曲のモデルとして紹介されたことに端を発すると思われます。もう18年も前の曲になりますが、この日も口ずさみながらお花見をしている人を見かけました。「揺れる木漏れ日 薫る桜坂、悲しみに似た 薄紅色」はまさにキラーフレーズ。山下達郎のクリスマスイブが12月の定番曲なら、福山雅治の桜坂は4月の桜シーズンを代表する曲と言っていいでしょう。これからも世代を超えて語り継がれるに違いありません。
桜坂は旧中原街道の難所だった
現在の桜坂は旧中原街道の切通しで、昔は「沼部の大坂」といい、勾配がきつく荷車などの通行に支障をきたしたようです。沼部というのは地名で、現在は東急多摩川線の沼部駅が近くにあります。
桜坂の存在は知っていましたが、ここが中原街道の旧道だとは知りませんでした。そして言われてみれば確かにかなりの切通しです。それでも勾配は緩くないので、如何に当時の通行人が沼部の大坂に難儀したかが想像できます。
切通しにかかる赤い陸橋「桜橋」
桜坂の西側にある細い側道を上がると、切通しにかかる赤い陸橋こと「桜橋」にたどり着きます。ちなみに、この側道の勾配はなかなかのもので、もしかするとこれが当時の「沼部の大坂」の面影を残しているのかもしれません。
桜橋の上から旧中原街道を見下ろすと、改めて切通しであることが分かります。下の写真の1枚目は多摩川方面、2枚目は環八方面(1枚目と逆の方面)を写したものです。
たくさんの花見客が行き来する中、タイミングを見計らって記念撮影をしました。本当はもう少し桜橋の正面で撮りたかったですが、こればっかりは仕方ないですね。
旧六郷用水の桜も満開だった
念願の桜坂を満喫した後、旧中原街道を下り、2月に訪れた旧六郷用水の跡地にも行ってみました。前回はまだ桜が咲いていませんでしたが、この日は満開と言っていい開花状況でした。ただ、時間帯が悪かったのか日陰が多かったのが残念。あまり良い写真は撮れませんでした。
田園調布の桜という特別感
同じ桜でも「田園調布の桜」というだけで気構えてしまうのは田舎者の性。しかし、そういった気持ちで楽しむことができるのも田舎者の特権である気がします。いい意味で都会に馴染まず、いつまでも田園調布の桜に特別感を覚えることのできる人間でありたいものです。