萬寿鏡 F40(エフヨンマル)限定醸造はかなり普通じゃない普通酒だった!

お酒

フェラーリを連想させるF40(エフヨンマル)とは、Fが普通酒、40が精米歩合を表している株式会社マスカガミの日本酒。精米歩合40%なのになぜ普通酒?と誰もが疑問に思うその答えは、ちょっとしたアクシデントがきっかけだったようです。以下、新潟県酒造組合の記事から一部抜粋して引用します。

「越淡麗を近隣の農家に契約栽培してもらっているのですが、その1軒が乾燥機のダイヤル操作ミスで、水分過多のコメにしてしまったんです。大吟醸に使おうと思っていたのですが、このコメが検査で等級外になってしまいました。

契約栽培は全量買い取りが原則ですが、こうしたアクシデントの場合は買う義務はないのです。 とはいえ、長いお付き合い。心情的にはなんとかしてやりたい。

等級外米は使っても普通酒しか名乗れませんが、金額的に折り合いがついたので引き取りました」

https://www.niigata-sake.or.jp/interview/k64.html

新潟県が育成した越淡麗を40%まで磨いた普通酒。しかもお値段も普通酒並み。マスカガミ社の酒造りに対する情熱がひしひしと感じられます。これだけでも「普通じゃない普通酒」といえるでしょう。

F40と書いて、エフヨンマルと読む

ラベルがかっこいい!

蔵元の努力でピンチをチャンスに変えたことで誕生したF40は、ネーミングだけでなくラベルもかっこいい仕上がりとなっています。新政酒造のNo.6に引けを取らない個性的なデザインは、アピール下手な新潟県においても起爆剤となるでしょう。実際、F40を始めとするアルファベットラインは入手困難なほど売れ行き好調なのだそうです。

「限定」に惹かれる小市民

普通酒らしからぬ香りと旨味

せっかくなのでワイングラスに冷やの状態で注いでみると、普通酒らしからぬ香りが感じられます。吟醸酒ではないようですが、リンゴ系の吟醸香のような、いわゆるフルーティーな香りが印象的です。

次に味ですが、爽やかな香りからは想像されない力強さがあり、まったりとした舌触りに思いました(これに関しては普通酒っぽいかも)。単体で楽しめる日本酒ですが、食べ物と合わせるならお刺身や湯豆腐といった淡白なものよりも、肉や揚げ物の方が相乗効果が期待できそうです(まだ試していませんが)。

総じた評価としては、とても美味しい。好きな部類の日本酒でした。

爽やかな香り

日本酒業界の盛り上がりに期待

先に引き合いに出した新政酒造の日本酒は、プレミアが付いて四合瓶で1万円とか、中には3万円を超えるものもあります。ちょっとやりすぎと思う反面、日本人の人口が減少傾向にあるわけですから日本国内での日本酒需要も減っていくと考えられるため、市場ニーズによって1本あたりの単価が高騰することは酒蔵存続のために重要だと思います(転売目的での高騰は論外ですが)。

アルコールは15度

新潟県には89の酒蔵があり、その数は全国1位。しかしこの中で将来安泰の酒蔵は何割あるでしょうか。他社を凌駕して生き残るという足の引っ張り合いではなく、相乗効果で盛り上がっていくにはどうすればよいか。昔ながらの酒造りを継続しつつ、現代に見合った付加価値を付けていくことがヒントになる気がします。昨今流行りの海外進出もいいですが、国内展開による仕掛けが、それも新潟県発で誕生すると、日本酒に関わる業界全体が底上げされ、新潟県の注目度も上がり、いろいろと面白いことになりそうだなと思いました。

あご出汁の鍋にはよく合いました

 

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