瓶内発酵させる日本酒は一般にガス抜きキャップが使用されるものですが、先日チャレンジしてみた新潟県長岡市の河忠酒造による福扇活性にごり生には通常のキャップが使われていました。
このことから、瓶内発酵とは言っても大したガス圧ではないのだろうと高を括ったわけですが、これが一歩間違えば大惨事を招くきっかけになり得たなんて、このときはまだ想像もしていませんでした。
開栓方法の説明書付き
まだほろ酔い程度の段階だったはずなのに、開栓方法が書かれた説明書の写真撮影を忘れてしまいました。記憶をたどると、次のような指南があったと思います。
- 一気に開栓しないこと
- できれば戸外で開栓すること(推奨)
- 「キャップを緩める→締める」をガス圧が下がるまで繰り返すこと
- ガス圧が下がったら瓶を逆さまにして澱をからめてから飲むこと
キャップをほんの少し緩めるだけで瓶内のお酒と底に溜まった澱がグーッと吹き上がってきます。そこで吹きこぼれる前にキャップを締める。そして水位が下がったところでまたキャップをほんの少し緩める・・・というチキンレースのような反復作業を実に10分間くらい続け、やっと飲める状態にまで到達することができました(長い!)。
発泡+辛口の爽やかな味わい
実際は友人にガス抜き操作をやってもらったのですが、地道な作業を目の前でずっと見ていたら疑似体験として刷り込まれたようで、なんとなく当事者意識が芽生えました。ということで労働の後の一杯を楽しむべく、さっそくお猪口に注いでみました。
しっかりと澱がからみ、炭酸の細かい気泡も無数にあるので光の乱反射も手伝って全体的に白っぽい仕上がりとなり、無粋を覚悟で例えるとまるでアンバサのようでした。
口に含むと、にごり酒によくある甘くとろっとした味わいではなく、むしろ辛口タイプで、少し酸味もあり、また炭酸の効果によって爽快感も感じられました。そのためお刺身との相性もよく、食中酒として美味しくいただくことができました。
通常キャップに騙されるな!
福扇活性にごり生が通常キャップを採用しているのは、瓶内のガス圧が弱いからではなく、ガス圧をできるだけ高めるための作戦でした。通常キャップに騙されて迂闊にキャップを開けると、メントスコーラの如く中身が噴出してしまいます(部屋や洋服が汚れるし、そもそも勿体ない)。
飲み始めるまでに面倒なガス抜き作業が必要ですが、それを1つのイベントとして楽しむべきでしょう。作り手を称える意味でも、消費者にとっても、面白いコンセプトのお酒だなと思いました。もし見かけた際はぜひチャレンジしていただきたい逸品です。