5月の連休は前半に混雑を避けつつ新潟の実家へ帰省してきました。地元で仕入れたワラビやらコゴミやらの山菜数種を、いつもお世話になっている中華屋さんへお裾分けした後、多摩川河川敷で自転車を降りて少し歩いてみました(別に山菜を探そうとしたわけではなく)。すると玉川排水樋管の近くで見慣れない紫色の花を発見。とりあえず全体を観察してから写真を撮り、帰宅後すぐに正体を調べてみました。
曇天でも目立つ紫色
曇天の霞んだ天気にもかかわらず、その紫色の花は遠くからでも分かるほど目立ち、ハマダイコンの花と同じ場所に群生していました。多摩川の河川敷にはいろんな植物が自生していますが、多くは緑か白か茶色であり、紫は珍しいように思います。
紫花の正体
特徴的な色と形の花なので、詳しい人ならすぐに分かるのだろうと思います。僕はまったくの門外漢のため、とりあえず「多摩川河川敷 紫色の花」でGoogleに聞いてみました。するといくつか候補があがり、クサフジかナヨクサフジの可能性があるが、恐らく後者のナヨクサフジだろうという結論に達しました。
ナヨクサフジとは?
すべてWikipedia情報なのでどこまで正しいか不明ですが、それを分かった上で書くと、まずナヨクサフジはマメ科ソラマメ属の外来種であり、いわゆる日本の固有種であるフジ(藤)とは異なる植物だと分かりました(フジはマメ科フジ属)。
ナヨクサフジの漢字名は弱草藤と表記するようですが、荒れ果てた河川敷でたくましく群生している様子からはむしろ強い生命力が感じられます。厳しい自然を生き抜くうえで、紫という目立つ花の色も何か意味があるのでしょうね。それにしても綺麗な色です(ここに載せる写真は少し色を加工していますが)。
強い外来種との上手い付き合い
それにしても、シロツメクサにしろセイタカアワダチソウにしろ、外来種の植物は本当にたくましいし、動物においても繁殖力の強さに驚かされます。昨今は人間界においても同様のことが言えるようになってきました。
島国に暮らす我々日本人は、陸続きの国に暮らす人々より外来種を異質と思う感覚がずっと強いかもしれません。固有種の保護は重要なことで、そのためには外来種の駆除も必要。しかしこのご時世、外来種とうまく付き合っていく術も同じくらい重要な気がします。なかなか難しいですが、大陸の人々は何百年も前からやっていることでしょうから、我々にもきっとできるはずです。
ナヨクサフジは脚光を浴びるか?
ナヨクサフジは、花は綺麗だし、緑肥として栽培もされるようなので、もっといろんなところで見られるようになっても良さそうだと思います。でも外来種を増やす一因となるから歓迎されないのでしょうか。僕が知らないだけで、すでに世間の表舞台で活躍しているのかもしれませんが、もしそうでないなら、今後は脚光を浴びても不思議ではないと感じました。
追記(2020年5月14日)
昨日のヤフーニュースで、森林ジャーナリストの田中淳夫さんによる「超有用な外来植物の野生化が進む……日本の自然に影響はあるか」というタイトルの記事を見つけました(田中さんのブログにも同様の記事がありました)。ここではヘアリーベッチについて書かれていて、「ナヨクサフジ(スムーズベッチ)はヘアリーベッチの近縁種」と説明があります。
驚いたことに、ヘアリーベッチの花は蜜源になり、はちみつが採れるんだそうです。これは一度食べてみたいと思いました。どんな味がするのやら・・・。
また、ヘアリーベッチは空中の窒素を固定する能力があるため土壌を肥沃化させるだとか、ほかの植物の生長を抑制する物質を出すアレロパシー効果があるだとか、面白いことがたくさん書かれており、興味深く読みました。やはりプロは違いますね。
多摩川で見かけたら、より注意深く観察してみようと思いました。