Escape Airが納車されて以来、2年半以上GIANTのお世話になっています。GIANTは台湾が誇る世界的な自転車メーカーで、コストパフォーマンスに優れた素晴らしい自転車を世に送り出していますが、実は単なる自転車メーカーではありません。そこがGIANTの素晴らしいところであり、日本の大手メーカーにも見習ってほしいところなのです。
Forbes JAPANの「自転車業界トップ、台湾GIANT 「赤字覚悟」でシェア事業推進」は、GIANTが単なる自転車メーカーではないことがよく分かる良記事です。
自転車シェアサービス「YouBike」
GIANTによる自転車シェアサービス「YouBike」は、先月末に放送された世界ふしぎ発見!でも紹介されていたもの。台北市内の160ヶ所ものステーションで利用でき、しかも1時間35円という破格の料金。さらに、すべての自転車が整備済みという抜かりの無さ。地元の人や観光客が、安全な状態の自転車を借りたいときに借りられるシステム作りがなされています。
自転車の楽しみ方を提案
GIANTが単なる自転車メーカーではない理由はまだあります。それは2009年に立ち上げた自転車旅行サービス。台湾におけるサイクリングコースやホテルや休憩場所を提供するもので、同様の取り組みは日本でも始められました。また、これはGIANTの直接的な功績ではないかもしれませんが、台湾には自転車をそのまま乗せられる電車(汽車?)もあり、国を挙げて自転車を普及させようとする動きが感じられます。羨ましすぎる!
自転車を売る以上のことに取り組む唯一の会社
以上のことから、GIANTは「自転車を売る以上のことに取り組む唯一の会社」として認知され、海外からもバイクシェアの運営依頼があるそうです。日本でも、大手自転車メーカーがやらない(やれない)のなら、GIANTがコンサルティングと実質の運営を行うことで整備が進めば嬉しいです。そのためには国や地方公共団体の協力が必要ですが(一番のネックはこれ!?)。
自転車後進国「日本」の実情
日本でもバイクシェアや自転車レーンの整備が進められていますが、その多くが形骸化していると言っていいでしょう。当たり前のように自転車レーン上に縦列駐車している車(客待ちのタクシー含む)を見る度、悲しい気持ちになります。
また、特に首都圏では、自転車店はたくさんあっても駐輪場が圧倒的に不足しています。駅前なんてだいたい駐輪禁止なのでコンビニすら入れません。こんなことでは自転車が社会に浸透するはずが無く、このことはCopenhagenize IndexにおいてTokyoが2011年以降大きく順位を下げ、2015年にはランク外となったことからも証明されている気がします。
日本には高品質な自転車を製造する技術力はあるものの、(特に首都圏では)自転車を社会の中に上手く取り入れる基盤がまだありません。いくら自転車の品質が良くても、日常生活で使えなければ何の役にも立たないのであって、このことから日本はある意味では自転車後進国と言えます。
日本の大手自転車メーカーの今後に期待
これまで日本の大手自転車メーカーは、自転車の製造だけを使命とする、いわゆる「単なる自転車メーカー」でよかったかもしれませんが、今後はGIANTのように製造・販売した後のことや自転車の楽しみを紹介することにも注力して頂きたいと思います。
「健康のために自転車に乗りましょう」と言うなら、安全かつ楽しく自転車に乗れる街作りが必要なのが今の時代。自転車のプロであるメーカーが主体となり、地方公共団体と共に整備を進めれば、数年で日本も自転車先進国になれるはずです。
日本の大手自転車メーカーが、GIANTのような「従来のメーカーとしての枠を超えた新たなメーカー」に変貌を遂げる日が来ることに期待します。